このごろブログ手を抜いているとのご指摘があったので、今回はかなりお堅い話です。
マスター時代を思い出して、ケーススタディーと分析です。
というよりも単なる雑感の域をでてませんが…
いろんなブログがAPPLE側に立った意見を論じているので、
IBMの立場に立って考えてみました
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34年前
INTEL4004が産声を上げ、28年前に
APPLEが創業… 20年前にIBMがPC/ATを開発…
PC黎明期からくっつきそうでくっつかなかったIT界の巨人と、トレンドリーダーがついに
結婚するようです。10年前にAPPLEさんは
motolora氏と別居(離婚ではない)して、IBM氏と同棲をはじめた前科があるので、考えられないわけではなかったのですけど…すこしびっくりです。
大金持ちのINTEL君が長年求愛しつづけてきた美女APPLEさんをついに口説き落とした!との第一印象でしたが、どうやらこの
2,3日の記事群は、
「ITのもう一人の巨人さん
IBM氏の浮気(
次世代ゲーム機群さんたち)によって、あまり相手をしてもらえなくなった(リソースを十分に割り当ててもらえなかった)APPLEさんが、昔は(アーキテクチャが)野暮ったくて見向きもしなかったのに、近頃ぐっといい色気がでてきたINTEL君に乗り換えた」
といっています。すなわち、美しいAPPLEさんが冷たいIBM氏を切り捨てたと…。
その一具体例として、アナリストは
Powerアーキテクチャの消費電力問題が、近年のPCのモバイル化にそぐわなくなっておっており、APPLEが積極的に乗り換えた(切り捨てた?)のだと。
でもそれは逆なんじゃないでしょうか?
IBM,SCEI,東芝発表のCELLプロセッサ(コア部はPowerアーキテクチャ)のサイズと消費電力から鑑みるに、Powerアーキテクチャでも十分消費電力問題は解決できるのではないかと素人考えに思うわけです。そもそも
Powerアーキテクチャファミリーのロードマップは組み込み系から大型機まで幅広い範囲をカバーしているはずです。
ということは、冷たいクールなIBM氏がAPPLEさんを捨てたと見るのが至極まっとうな見方だろうと思うのですがどうでしょう?
このごろのIBMは、すっかり旬が過ぎてしまったPCマーケットから手を引く動きを見せていますよね。先日の
PC部門を中国のメーカーLenovoに売却してしまったし。
そして、今回のニュースです。
ここから読み取れるのは、(ちょっと強引ですが^^;)、IBMは家庭用ITガジェットの中心をPCからゲーム機に移行させることを本気で考えているのではないかということです。
ここでポイントなのは、世の中の流れがゲーム機だからIBMがその流れに乗ったのではなく、
IBMが主体的に流れ(新市場創出、イノベーション)を起こしているという点です。
根拠はズバリ「Powerベースのプロセッサを競合するゲーム機ベンダ3社に同時に供給する」ということです。
【視点1】 現在の状況から見られる各社間の力関係から
そもそも競合するベンダが、その心臓部に同じアーキテクチャを採用するというのが少しおかしいと考えます。
ハード間の差別化があいまいなものになってしまうのではないでしょうか。ということは、ゲーム機ベンダ的にはIBMが同時にコンペチタとも関係を持つのは好ましくないと。
その一方で、IBMがわから見れば、3つのハードのどれかが生き残ってくれればよいわけで、ゲーム機ベンダとIBMとの立場関係は圧倒的にIBMが有利です。IBMが一番得をするのに、ゲーム機ベンダが好ましくない状況に甘んじなければならなかったというところに、IBMの本気度が感じられます。(ただしMicroSoftだけは違うような気がしますが)
【視点2】 投資意思決定の視点から
イ) いくらベースが同じアーキテクチャといえど、MicroSoft、SCEI、任天堂三社のカスタマイズにかかわるというのは、相当の投資が必要だったはずです。
ロ) さらに、
G5の歩留まり問題でAPPLEからあれほど指摘されていたのにもかかわらず、より製造数が多くなるであろうゲーム機のプロセッサを歩留まりよく製造できると判断した。すなわち、APPLE相手では、本気で問題解決をする気(投資をする気)がなかったのに、ゲーム機相手ではかなりの増強をしたであろうと考えれるわけです。
研究開発投資(イ)、設備投資(ロ)の2つの投資意思決定から、IBMの本気度がわかります。
上記2つの視点1,2により、IBMが本気でポストPC時代の雄になろうという野望に満ちていると判断できます。
自ら提唱したPCの主導権を得られなかった失敗経験をもとに、次の市場で主導権を得るようしてるように思えます。
自ら生み出したPC/ATアーキテクチャに引導を渡し、次世代の家庭用ITガジェットの主役に踊り出る気満満って感じですね。
クールなIBM氏も実は野望に燃えた熱い男だったわけです。シュンペータのいうところの「Creative Destruction(創造的破壊)」ってヤツですかね。
で、INTELはクリステンセンのいうところの「イノベーションのジレンマ」に陥っているのでしょうか…?
知識創造企業
野中 郁次郎 竹内 弘高 梅本 勝博 / 東洋経済新報社
スコア選択: ★★★★★
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
クレイトン・クリステンセン 玉田 俊平太 伊豆原 弓 / 翔泳社
スコア選択: ★★★
INTEL率いるPC軍 VS IBM率いるPower軍 これから大変見ものです。
いつかPCが一般家庭から消える日が来るかもしれません
つづく…
次回は なぜMicroSoftはPowerを選んだかを考察してみたいと思います。
余談:
E3で動いていたXBOX360のデモが3台のG5Macで動いていたという事実は、少し面白いですね。これはXBOX360用のプロセッサを少し改良しただけでMacが作れるのではないかと連想させます。少しの改良ですむのに、それもせずIBMがAPPLEを切り捨てたのではないかとも感じさせます。APPLEは映像音楽に強いを売りにしているのに、それらに強いプロセッサを積極的捨てるというのはナンセンスでしょう。モバイル化の流れという論理付も弱いと思います(これは後日論じたいと思いますが)。
ちなみにT6(私は)ゲーム機どころかテレビすら家にありません。